子どもは、大人と比べて熱中症にかかりやすいと言われています。
特に、乳幼児は、重症化しやすく、最悪、死に至るケースもあります。
ここでは、子どもが熱中症になりやすい理由や対策について紹介します。
子どもが熱中症になりやすい理由
なぜ、子どもは熱中症になりやすいのでしょうか?
その理由としては、次の3つが挙げられます。
- 体温調節機能が未発達
- 地面からの熱の影響を受けやすい
- 自分では予防できない
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
体温調節機能が未発達
私たちが体温を調節する方法は、2つあります。
ひとつは、汗をかいて、その汗を蒸発させて熱を逃がす方法、もうひとつは、皮膚の表面の血管を広げて熱を逃がす方法です。
人の汗腺の数は、200万~500万個、この数は、大人も子どもも変わりません。
しかし、乳幼児の場合、汗腺が未発達で、実際に汗をだすことができる汗腺の数はとても少ない状態で、有効な汗腺になるためには、2~3年程度かかります。
そして、この汗腺機能が大人と同じように完成するのは18歳前後になります。
このように、子どもは、汗腺の働きが不十分なため、体の熱を逃がしにくく、熱中症のリスクが高まります。
また、子どもは体重の割に表面積が大きいため、外気の影響を受けやすくなります。
気温が高いと、皮膚血管が拡張しても、熱を逃がすことができなくなり、逆に熱を吸収して体温が上昇し、熱中症になりやすくなる訳です。
地面からの熱の影響を受けやすい
身長が低い子どもは、地面からの照り返しの影響を受けやすくなります。
大人の顔の高さで32℃の時、子どもの顔の高さでは35℃くらいです。
アスファルトの上では、さらに高温になります。
また、ベビーカーでは、照り返しの影響に加えて、日よけが熱を吸収する場合があります。
黒や濃い色の日よけは、紫外線はカットできますが、熱は吸収するので、ベビーカーの中は思った以上に温度が上がります。
自分で予防できない
乳幼児は、水分を補給したり、服を脱いだりなど、自分で暑さ対策することができません。
しゃべれない赤ちゃんはもちろん、小さい子どもは、自分の体調の変化をうまく伝えられないこともあります。
また、遊びに夢中になると、暑さやのどの渇きを忘れ、気がつけば、熱中症になっていることも…。
最近の子どもは熱中症になりやすい!?
熱中症が増えた要因は、地球温暖化やヒートアイランド現象で、昔に比べて気温が高くなっていることが挙げられます。
しかし、それ以外にも原因があります。
それは、汗をかかない子どもが増えていることです。
前述したように、汗をかく汗腺(能動汗腺)の数は、3歳くらいまでに決まります。
この時期、寒いところで過ごせば汗腺はあまり増えず、暑いところで過ごせば汗腺は増えるわけです。
ところが、エアコンの普及により、暑い夏、どこへ行っても快適に過ごせるようになりました。
また、日ごろから屋外で遊ぶ機会も減っているため、暑さに対する適応能力が欠けています。
生まれた時から、適温環境で育つ子どもは、汗腺が発達せず、汗をかかなくなります。
そのため、最近の子どもたちは、昔の子どもに比べて熱中症にかかるリスクが高くなっています。
子どもの熱中症対策
熱中症対策は、大人も子どもも同じですが、特に小さな子どもには、親が注意して対策をしてあげる必要があります。
こまめに水分を飲ませる
子どもがのどの渇きを訴えてからでは、既に遅い場合もあります。
のどが渇く前に、こまめに水を飲ませてあげてください。
ある程度大きくなったら、定期的に水分を摂るように教えることも大切です。
涼しい服装
体を締め付けず、熱を逃がしやすい服装を選んでください。
外出時には、帽子をかぶり、冷却スプレーやクールタオルを使用するとより効果的です。
子どもの様子をチェック
顔が赤い、たくさん汗をかいている時は要注意です。
涼しいところで休ませ、水を飲ませましょう。
暑さに慣れさせる
普段から外で遊ばせ、汗をかける体作りをしましょう。
日ごろから汗をかくことで、体温調節機能が発達し、暑さに強くなります。
また、すぐにエアコンをつけるのもやめましょう。
ある程度エアコンを我慢することで、暑さに順応できるようになっていきます。
もちろん、まったくエアコンを使わないことは良くありませんが、状況に応じで利用することが大切です。
特に乳幼児に注意するポイント
乳幼児の熱中症予防のポイントは、よく観察することです。
乳幼児は、暑くても自分で服を脱げませんし、水を飲むこともできません。
汗をかき過ぎていないか、おしっこの量や色などもチェックして、服を着替えさせたり、水分を補給するなど対処してください。
また、なるべく日差しが強い時間帯は外出を避けましょう。
どうしても、外出する場合は、外気の熱を吸収しにくく、体の熱を発散しやすい服を選んであげてください。
なるべく日陰を歩いて、ベビーカーの中の温度が上がらないようにすることも大切です。
ほんの少しの時間でも、ベビーカーや車の中への置き去りは絶対にしないでください。
常に、熱中症情報などをチェックすることをおすすめします。
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まとめ
いかがでしたか?
特に、最近は、生活環境が向上しているがゆえに暑さにも弱い子どもが増えていると思います。
子どもたちを熱中症から守るためにも、暑さに強い体作りをすることは不可欠です。
暑くなる前から、外で遊ばせ、徐々に暑さにならすようにしてください。
もちろん、水分補給は忘れずに!
熱中症の症状についてはこちらの記事をどうぞ。
≫熱中症はなぜ起こる!その原因と症状