肥満の人は、普通の体型の人に比べて熱中症になるリスクが高くなります。
1990~2011年の学校管理下の熱中症死亡事故例のうち、身長・体重の記載があった38例の体格的特徴をみてみると、標準体重から20%超過している肥満者は71%と、熱中症死亡事故に肥満者が多くなっています。
日本スポーツ協会 熱中症予防ガイドブックより
ここでは、なぜ肥満の人が熱中症になりやすいのか、詳しく見ていきたいと思います。
肥満の人が熱中症になりやすい3つの理由
肥満の人が熱中症になりやすい理由には、次の3つが挙げられます。
運動不足になりがち
肥満の人は、基本的には体を動かすことが嫌いな人が多いですよね。
運動するよりは、家でお菓子を食べながらまったり過ごす…、なんて人もいるのではないでしょうか?
その逆で、体が重くて動くのが億劫と言う人もいますね。
体を動かさない生活を続けていると、運動不足から体力もなくなり、熱中症のリスクが高まります。
体温が上がりやすい
肥満の人は、軽い運動でもエネルギーの消費が大きくなるため、熱を多く発生し、体温が上がります。
ゆっくりした歩行を60分した場合、体重40kgでは84kcalですが、80kgでは168kcalになります。
このように体重に比例してエネルギー量が上がっていきます。
通常、体脂肪には体の熱を外に逃がそうという機能が備わっていますが、脂肪量が多すぎると放熱をブロックしてしまい、上昇した体温をなかなか元に戻すことができません。
太っている人がずっと汗をかいているのはそのためです。
脂肪がじゃまして、うまく体温調節ができず、熱中症にかかりやすくなります。
血流が悪い
私たちの体は、体温が上昇すると皮膚の血管を広げて熱を逃がそうとします。
熱い血液を皮膚表面に送り、冷めた血液を心臓に戻し、体温調節をする訳です。
ところが、肥満の人は脂肪が血管を圧迫したり、血中にも脂肪が多くなったり、うまく血液循環ができず、体温を下げることができなくなります。
ただでさえ血液循環がうまくいってない上に、発汗によって、血中の水分が不足し、ますます血流が悪くなり、脳にいく血液が不足して、熱中症を発症する可能性が高くなります。
肥満の人の熱中症予防策
熱中症を予防する方法は、熱中症を防ぐポイントでも書いていますが、肥満の人は太っていない人以上に注意する必要があります。
特に、こまめな水分補給と体温を下げる工夫はマストです。
でも1番良い方法は、ダイエットです。
肥満は熱中症のリスクだけでなく、他の病気のリスクも高くなります。
ガリガリに痩せる必要はありませんが、少しでも体重を減らして放熱しやすい体を作ることが大切です。
とは言え、無理なダイエットをすると体調を崩して熱中症になりやすくなるので注意してください。
まとめ
いかがでしたか?
肥満の人は、あまり体を動かさない傾向があります。
熱中症や他の病気の予防のためにも、日ごろから適度な運動を心がけましょう。
少しずつウォーキングするだけでもOKです。続けていれば、結果的にダイエットにもつながります。
もちろん、こまめな水分補給は忘れずに!
自分が他の人と比べて熱中症にかかりやすいという自覚をもって、早め早めに対処するように心がけましょう。